睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸の停止を繰り返す病気で、ほとんどの場合、いびきを伴います。
上気道(鼻からのどまでの空気の通り道)が狭く、呼吸がしづらい(低呼吸)あるいは、上気道が完全に塞がれ、呼吸ができない(無呼吸)
これらを合わせて睡眠時無呼吸症候群と呼ぶのです。
1回あたりに10秒以上呼吸が止まる。それを一晩の睡眠中に何十回、ひどい場合は何百回も繰り返す。
中には1分~2分近くの無呼吸を一晩で200回以上も繰り返す場合もあるのです。
例えば、皆様が寝ている間に誰かに鼻と口を1分間、一晩に100回以上塞がれる…。睡眠中は毎日それの繰り返し…。考えるだけでぞっとしませんか?
一度想像して頂くと、睡眠時無呼吸症候群の恐ろしさがわかって頂けるのではないでしょうか。
①他の大きな疾患のきっかけとなる。
睡眠時無呼吸症候群は放置しておくと、
などの原因となります。先ほど述べたように、一晩で何度も息が止まってしまうわけですから、それが長年蓄積すれば、病気にならないほうが不思議であるといえるかもしれません。
②交通事故のリスクが高まる
最近は運転免許の更新などでも頻繁に睡眠時無呼吸症候群のリスクが取り上げられるようになりました。
睡眠時無呼吸症候群の厄介な点として、日中の突然眠くなることや、一人でリラックスしているとき等に強い眠気がおきやすいということが挙げられます。これは我々の現代社会を支える車での移動の安全性に重大なリスクをもたらします。
特に、毎日のように車やバイクの運転をされている方は要注意です。
アメリカのバージニア州で行われた調査では、睡眠時無呼吸症候群の方29名と、睡眠時無呼吸症候群ではない方35名を比較したところ、睡眠時無呼吸症候群の方はそうでない方に比べて事故率が7倍高かったというデータもあるほどです。
Findley LJ et al: Automobile accidents involving patients with obstructive sleep apnea. Am Rev Respir Dis 1988; 138:337-40)
③QOL(生活の質)の低下による、社会的非難、劣等感を持つ場合がある。
現在、アメリカでは10人に1人、日本人では50人に1人が睡眠時無呼吸症候群と言われていますが、食生活の欧米化(肥満の方の増加)により、この割合は年々増加傾向にあるようです。
もはや睡眠時無呼吸症候群は珍しい病気ではありません。貴方のすぐ近くに存在する、国民的疾患であり、国民的生活習慣病でもあるのです。
そのような恐ろしい睡眠時無呼吸症候群ですが、原因の診断と、その程度の把握が睡眠時無呼吸症候群の治療には何よりも重要になります。