声帯麻痺
声帯麻痺
声帯は気管の入り口にあり、左右一対の声帯が開閉することによって、「門扉」のような働きをします。息を吸う時は開いて肺に空気を入れ、嚥下の(飲み込む)時は閉じることで誤嚥(気管に物が入ること)を防止します。
声を出す時は声帯が閉じて振動することで空気の層を作り、声のもと(喉頭原音)を作ります。一側の声帯が麻痺すると、片方の声帯が閉じる事が出来なくなり、喉頭原音が上手く生成されなくなり声が嗄れてしまいます。場合によっては、誤嚥によりむせたり咳が多くなったりします。
声帯は主に反回神経によって運動が制御されており、この神経が何らかの原因で障害されることで、声帯麻痺が引き起こされます。反回神経は甲状腺がんや食道がん、肺がんなどが原因で障害されることも多く、声がれが原因で、これらのがんが発見されることも少なくありません。また、心臓や肺、食道の手術の後遺症として、反回神経が障害され声帯が麻痺することもあります。
現在の医学では麻痺した声帯を再び動かすようにはできませんが、麻痺した声帯を声が出る位置に移動させる手術(声帯正中移動手術)で、声が良くなります。
声帯正中移動手術には主に、声帯注入術と喉頭枠組み手術があります(表を参照ください)。外来手術は当クリニックにて日帰り(予約制)で、入院手術は提携の大阪市内の総合病院にて行います。
具体的な手術方法は、声帯を含めた喉の状態や、患者さまの全身状態などを総合的に判断して、最も適した方法を相談させて頂きます。
手術方法 | 外来 入院 |
麻酔 方法 |
皮膚 切開 |
適 応 (麻痺した 声帯の状態) |
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ヒアルロン酸 注入術 |
外来 | 局所 | なし | ずれが極軽度 |
自家脂肪注入術 (喉頭微細手術) |
入院 | 全身 | なし | ずれが軽度 |
甲状軟骨 形成術Ⅰ型 |
入院 | 局所 | あり | ずれが軽度 |
披裂軟骨 内転術 |
入院 | 局所/ 全身 |
あり | ずれが大きい |
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